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英霊の遺書(5)海底の遺書

海底の遺書

                               海軍少佐 黒木博司命

 

 昭和十九年九月六日、徳山湾大津基地に於いて水中特攻兵器「回天」の潜行訓練中、

口孝少佐と共に従容として最期を遂げられた黒木博司海軍少佐が「回天」第一号海底

突入事故と報告と題し、状況、処置、経過、所見と区別された詳細に亘る遺書の最後の部分

である。

 

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辞世

 

国を思ひ死ぬに死なれぬ益良雄が友々とよびつ死してゆくらん

 

 二二〇〇壁書きス

 天皇陛下万歳

 大日本 万歳

 帝国海軍回天万歳

 

 十九 九 六 二二〇〇

 

     海軍大尉 黒木博司

 

呼吸苦シク 思考ヤヤ不明瞭

手足ヤヤシビレタリ。

〇四〇〇 死ヲ決ス 心身爽快ナリ 心ヨリ樋口大尉ト万歳ヲ三唱ス

死せんとす益良男子のかなしみは留め護らん魂の空しき

所見万事ハ急務所見乃至急務靖献ニ在リ同志ノ士希クハ一読、緊急ノ対策

アランコトヲ。

一九―九―七〇四〇五絶筆

樋口大尉最後従容トシテみごとナリ 我又彼ト同ジクセン

〇四四瑚君が代斉唱 神州ノ尊 神州ノ美 我今疑ワズ

莞爾トシテユク万歳

〇六〇〇猶二人生存ス 相約シ行ヲ共ニス万歳」