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英霊の遺書(13)および遺族の詠める歌

御祭神の歌

 

すめろぎの国亡ぶるか興るかの戦なるぞ征けや益良夫

              海軍少佐 黒木博司命

              岐阜県出身 二十二歳

             (いわゆる人間魚雷「回天」の発案者、訓練中殉職。)

 

男子われ防人となる甲斐ぞあれ東半球の果てに死ぬれば

              陸軍中将 那須弓雄命

              栃木県出身 五十一歳

 

野山わけ集むる兵士十余万かへりてなれよ国の柱と

              陸軍大将 山下奉文命

              東京都出身 六十歳

 

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遺族の歌

 

かどいでを斎(いほ)ふ切火を背にうけてい往きし人はつひにかえらず

              長野県 尾崎 芳

 

銃火交ふる野をかけ行きて軍医吾子友に手当をしつゝ斃れき

              長野県 岡戸広治

 

亡き夫(つま)の好みし博多の帯しめて昏れなずむ門に迎火を焚く

              東京都 岩城町子